2014年、王座戦以降調子良さそうですね。
王座戦で惜しくも世界選手権代表権を逃して以降調子いいんですよ(笑)。関西に遠征し青葉S級リーグ、関西選手権で優勝しました。また最近は東北ブロックの東北オープンや押田杯でも優勝しました。王座戦の前に参加した神奈川オープンでは3勝1敗2分で「じゃんぷは終わった」とか言われてましたけどね(笑)まだやれる!って思ってます。
オセロの練習はしてるんですか?
最近は「大会が練習の場」になってますね。今となっては「元」チャンピオンですし、いい感じにプレッシャーがないんです。ネットでは全然オセロしてないですし、いまさら序盤の暗記などもしないですね。Othello Japanの詰めオセロやスマホアプリでオセロやってるくらいですね。
今は大学3年生でしたっけ?大学生活はどうですか?
毎日充実してます(笑)。サークル活動も楽しかったしバイトも最高です!もうすぐ就職活動が始まるので学内の就職セミナーにも積極的に出てますよ。
そういえばタイで開催されていた2014年世界選手権は見ていましたか?
世界戦…実は悔しくてちゃんと観られなかったんですよね…。Ben Seeleyと対局したかったです。生オセロではBenと一回も打ったことないので。あとSong YangもOWC2014で負けたのでリベンジしたかった。Othello Graphのインタビューで「高梨九段に勝ったことが嬉しかった」と言ってくれてましたし…。
末國さん、Ben、岡本くん、Song Yanって世界最高峰のメンツなんですよ!それに自分が入っていないことが本当に悔しいです。
2008年
高梨九段のメジャー大会戦績について教えてください。最初にメジャー大会決勝に進んだのは2008年全日本選手権ですか?
そうです。あの時は四段でした。
飯島七段との伝説の一局ですね。
飯島さんも当時は四段でした。白番だったし中盤まで優勢に進めていたので勝てると思ってたのですが、気づいたら劣勢になってて。負けた後、実はめちゃくちゃ悔しかったんです。
Black:Iijima Takamune
White:Takanashi Yusuke
勝てた試合を落とした、という感じで?
いや、当時は「一生に一度のチャンスを逃してしまった」という感じでした。悔しくて棋譜の再現していないです。並べてなさ過ぎて今でも並べられない気がします。入賞者にもらえる盾に1局だけ棋譜を入れられるんですが、その時の悔しさを忘れないために決勝の負け棋譜を入れてもらいました。
悔しさが伝わってきます。
まあその後タイトル取るんですけど(笑)
この頃から、高梨九段のような若い世代のプレイヤーがメジャー大会で活躍するようになってきましたよね。
2008年は面白い年で「分岐点」という感じなんです。3月の名人戦決勝は宮岡七段 vs 山川五段で宮岡七段の勝ち、9月の王座戦は滝沢八段 vs 中森五段で滝沢八段の勝ち。実はこの年のメジャー大会決勝で負けた僕、山川五段、中森五段はみんなYahoo!オセロで切磋琢磨していたいわゆる「若手勢」なんです。(※それぞれ段位は当時)
この年は「若手が古豪に挑み、散っていく」という図式だったのですが、次の年に僕が名人位になってから一気に若手勢がタイトルを奪取するようになってきました。時代の節目だったような気がします。
2009年
そして初のメジャータイトルが2009年の名人戦ですね。
はい。対戦相手は後藤七段でした。楽勝に見えたかもしれないですが中盤めちゃくちゃ難しかった。あと、後藤さんの気合が半端なくてかなり気圧されそうになったことを覚えています。
Black:Goto Hiroshi
White:Takanashi Yusuke
この頃は「そろそろタイトル取れるかな」って思ってませんでしたか?周りは思ってましたが。
この頃から品川の大会でかなり勝てるようになってきて、少しずつタイトルへの自信も出てきてましたね。終盤に強くなってきました。中島八段に勝てるようになってきて、それが自信に繋がってました。当時2ちゃんねるに「高梨はいつタイトルを取るのか」みたいなスレッドも立ってましたし(笑)。
そして2009年の世界選手権へ。
初めての世界選手権、本当に楽しかったです!滝沢さん、岡本くん、僕、浦島さんが代表でした。そしてメガハウスの小出さんと高橋さんが一緒でした。
当時の日本代表団は大会前に観光に行ってましたがみんなリラックスしてましたよ。小出さんが「為則さんや中島さんはもう世界戦になると大会前から気合入り過ぎちゃって全然観光楽しめてないみたいだったけど、君たちは心から楽しんでるな」みたいなことを言ってました(笑)。
僕と岡本くん、浦島さんが生徒、滝沢さんが引率の先生という感じの修学旅行状態でした。でも一番「やらかす」のも滝沢さんでしたね!財布を飛行機の中に落としたり、スーツケースは20kgまでと決まっていてみんなうまく調整してたんですけど、滝沢さんだけ30kgオーバーでみんなから怒られてました(笑)。
予選から決勝まではどのような感じでした?
予選は3位通過です。初日は6勝1敗と順調でしたが、2日目が1勝2敗1引分というギリギリの状態で12回戦の相手がイタリアのBorassi選手。前年度の優勝者で、そこで何とか勝つことができました。
そして13回戦勝てば予選通過。対戦相手は浦島さんでした。正直言うと気を使って緩い手打ってくれるかなと思ってたんですがめちゃくちゃ強い手ばかり打たれて負ける寸前でした(笑)。すごい苦しかったです。
Black:Takanashi Yusuke
White:Urashima Mei
決勝トーナメントでは「自分らしいオセロ」を打つことができました。予選で負けていた滝沢さん、末國さん、ドイツのMatthias Bergが決勝に進出していたので、誰と当たっても予選のリベンジです。
世界選手権の3日目はどういう雰囲気なんですか?
もうすごいピリピリしてます!普段の大会はもちろん、世界選手権の予選2日間とも全然雰囲気が違うんですよ!狭い部屋の中で無言です。あ、末國さんだけはフランクにいろんな人に話しかけてましたけど(笑)。僕、滝沢さん、Bergはもちろん無言。
僕は入室した後も研究COBRAでベルク対策をしていました。当時ガラケーだったのですが、ずっと通信していたので翌月の携帯代請求が4万円超えました!
Black:Takanashi Yusuke
White:Matthias Berg
優勝した直後はどんな感じでした?
「絶対勝たなきゃいけない」というプレッシャーがあったのでホッとしてました。対局が終わって部屋を出たところ、末國さんや高橋さんが部屋に来てくれて一気に喜びを爆発させましたね!その場で泣くとかはなかったんですが、ホテルの部屋に戻りパソコンの電源入れてYahoo!オセロにアクセスしたらいつもの仲間が「おめでとう!」って言ってくれて、その時初めて嬉し泣きしてました。
2010年
そして翌年2010年はイタリアでの世界選手権。ディフェンディングチャンピオンとしての参加でした。
この年はさすがホームだけあってイタリア勢が本当に強かった。予選の4回戦終了時、イタリア勢が既に12勝もしていて団体戦危なかったんですよ。
僕自身、この年も初日は6勝1敗。毎回初日は調子いいんです(笑)。最後の13回戦に何と滝沢さん。世界選手権では「12回戦、13回戦は同一国の選手と対局しない」というルールがあったんですがこの年からそのルールが撤廃されていました。でも僕らそのルール変更があったことを知らなかったんですよ。だから混乱してました。
僕は12回戦に勝って予選通過していたと思い込んでたんですね。本当はそんなことなかったのに!そういう気持ちのまま滝沢さんとの試合に臨みました。正直言うと「僕が滝沢さんに負ければ、僕も滝沢さんも予選通過できる」と思ったんですが、やはり手を抜くのはプレイヤーとして無いので真面目に打って苦しい試合を勝ちました。
あとからわかったのですが、滝沢さんとの試合に負けていたら僕予選通過してなかったんですよ。ボーダーラインの選手が全員勝ってたので!
day3はどうでしたか?
ピヤナット選手が最初の相手だったのですが、暗記範囲が非常に広く対局するのが嫌な選手です。予選で彼に負けて、決勝リーグに進出してくることがわかってから予選での棋譜やPLAY OKの棋譜を並べて対策をしていました。
決勝は地元イタリアのBorassi選手。
イタリア開催でイタリアの選手が決勝進出ですからね、もう完全アウェー。Borassi選手も強かったです。1局目は勝ったんですけど優勢局面から結局2石勝ち、2局目は4石差で負けちゃって3局目の色の選択権と引き分け勝ち取られてしまったんですよ。苦しかったです。
Round 3
Black:Takanashi Yusuke
White:Michele Borassi
3番勝負のための戦略はありますか?
3番勝負は普段の戦い方とはまったく異なります。予選の通過順位で決勝リーグの戦い方が変わってくるんですよ。僕はやはり白番が好きなので1局目に白番を取りたいです。そして白で大勝できたら2局目の黒番の時はとにかく引分を狙っていきます。もし引き分けに出来たら3局目の色の選択権と1局目の石差より多く負けなければ勝ち、例えば1局目10石差で勝ちなら、3局目は8石差負けでも勝ちなので、相当優位に立てます。
でも、1局目が2石勝ちみたいな微妙な形勢や負けの場合は、2局目黒番でも勝ちにいかなければいけない。いずれにしても、1局目に白番をとることで色々な戦い方を選ぶことができるんです。
予選の通過順位が上だと初戦の色を選べるので戦略が練りやすい。そういった意味でも通過順位が非常に重要となってくるんです。
完全アウェーの中での優勝。どうでした?ブーイングとかなかったですか?
この時もみんな祝福してくれました!ブーイングなんてなかったですよ。みんな「Yusuke!Yusuke!」って言ってました。Di Mattei選手が僕のことお姫様抱っこしてくれましたからね(笑)。日本人の連続優勝記録が途絶えなくてホッとしてました。
2011年
2011年は世界選手権に参加できなかったんですよね。
全日本選手権の決勝で岡本くんに負けました。あの試合はすごかったですね。終盤、冷静に打てていれば確実に勝てたと思うんですが…。いまだに負けたことが悔しいです!
Black:Takanashi Yusuke
White:Okamoto Kazuki
ちょっと偉そうな言い方になっちゃうのですが、実はこの対局までは「岡本くんより僕の方が強い。僕のほうが格上だ」と思ってたんですよ。でも、この対局で負けてしまい、その後は彼の方がメジャー大会の戦績良いですよね。先にグランドスラム(世界選手権、名人戦、全日本選手権、王座戦すべてで優勝)を達成されちゃいました!
僕が目標としていた記録の一つに、為則九段の「世界選手権3連覇を超す」というものがあったのですが、この年世界選手権に参加することができなかったので結局達成することが出来なかったんですよね。悔しいです。でもまだ諦めてないです。
2012年
2012年は全日本選手権で優勝してますね。
はい、決勝の相手が栗田くんでした。割と打ちやすい試合展開になったことを覚えています。栗田くんには苦手意識があったことはあったのですが、「まだ栗田くんにメジャー大会で勝たせてはいけない」と思って気合入れて戦いましたね。
Black:Kurita Seiya
White:Takanashi Yusuke
この年の全日本優勝で九段に昇段ですか?
そうです!絶対に10代のうちに九段になりたいと思っていたのでギリギリ間に合いました。
2012年といえば、世界オセロ連盟と日本側のトラブルが起きており、日本側はこの年のWOCを「非公認大会」として扱うことが正式に発表されました(後日正式な大会に認定)。代表として世界選手権に参加したわけですが、どういう感じでした?
うーん…、今までいつも同行してくれていた小出さんや高橋さんが、今回からサポートされないということで、とても申し訳無さそうな感じでした。僕としても、今までメガハウスのサポートが当たり前だと思ってたのですが、本当に手厚いサポートをしてもらっていたんだなあ…ということを痛感しました。改めてメガハウスの皆さんに感謝してます。
宿泊などはアメリカ代表の谷田七段にとてもお世話になりましたし、代表の岡本くん、栗田くん、山中さんみんな英語が堪能で。英語は全部彼らに頼りっきりでした(笑)。トラブルについては世界各国の代表も知っていたので僕ら日本選手団の参加をとても歓迎してくれました。やはり日本代表抜きの世界選手権というのはありえないという感じです。
この時も優勝ですよね。
はい、この時の日本選手団は本当に史上最強のメンバーだったと思います。僕、岡本くん、栗田くんは予選で日本人以外ほとんど誰にも負けてないんですよ?ぶっちぎりで強かったのですが、この年の世界選手権についてはオセロニュースに書かれなかったので本当に残念でした。
Round 1
Black:Okamoto Kazuki
White:Takanashi Yusuke
Round2
Black:Takanashi Yusuke
White:Okamoto Kazuki
オセロにはまる
オセロを始めたきっかけを教えて下さい。
最初は単純に暇つぶしでした。最初はモバゲーに登録して「モバリバーシ」をやっていたのですが、なぜか全然勝てない。当時オセロは運で決まると思ってました。結構負けず嫌いなのでそこで色々調べました。
どうやって勉強していました?
yassさんの「オセロ定石 for モバイルオセラー」です。当時ガラケーでオセロを打っていた人はみんなこのサイト見てましたよね。その後COBRAに登録しました。みみさんやさとぼんさんが赤レートで本当に憧れでしたね。いつか自分もそこに並びたいと思ってました。中島さん主催の練習会にも仲間と一緒に参加しました。それが初めて触ったオフィシャルオセロ盤です(笑)。
緊張しました?
めちゃくちゃ緊張しましたよ!確かその時中島さんとは話していないんです。奥さんは気を使って話しかけてくれたんですが。でかなべさん(渡辺二段)と対局して1勝1敗でした。それから会場にはメガネかけた変なおじさんもいましたね。
小出三段のことですね(笑)
うるさかったですね、当時から(笑)
大会はいつから出始めましたか?
初めての大会参加はその練習会の次の週です。2006年頃ですね。そして、初めてのオープン大会である品川シーサイドオープンでわたぺんさん(渡辺六段)やすりっぱさん(中森六段)に勝って3位になったんですよ。品川の大会で5勝すると二段の権利なんですが、当時級位者だったので規定で飛び段できなくて初段でした。
初めてのオープン大会優勝は?
2007年8月の日本海オープンです。長尾六段に勝って優勝しました。長尾さんから局後に「高段者はこんなもんじゃないからな!」と言われたので調子乗らないようにしていたんですが、一度優勝するとどんどん大会で勝てるようになっていきました。
成長過程ではどのような対策をしていたのですか?
当時はPCを持っていませんでした。そのため、対局が終わるとすべての対局を研究COBRAで解析していました。僕の今の中盤の手筋って、研究COBRAの7手読みが基礎になっているものが多いです。僕、中盤でウィングを取ることが多いんですが、実は研究COBRAもウィング結構取るんですよ。
終盤練習は終盤COBRAですか?
はい、徹底的に終盤COBRAを解きまくってました。やっぱりオセロは終盤で決まると思います。終盤COBRA、研究COBRAがなかったら僕は世界に行くことは出来ませんでした。
PCを導入してからはどのような感じでした?
2006年の10月にPCを購入しました。WZebraを使うようになり、しっかりとしたBOOKの知識も取り入れるようになりました。
他人の棋譜並べなどもしましたか?
他人の対局の棋譜並べはほとんどしません。それよりも、自分の棋譜をすべて解析することの方が自分にとっては大切でした。毎日必ずネットオセロを打ち、すべてを解析する。1分オセロの対局もすべて解析するようにしていました。
2008年くらいは、Yahoo!オセロでよく一緒に打っていた山川七段、江崎七段、佐谷六段、中森六段などと大会の棋譜についてああでもない、こうでもないと検討しまくっていた時期がありました。そういう意見のやりとりは、WZebraの評価値とは異なる価値観で語られるのでそれも自分の成長に繋がったと思います。
自分が「強くなった」と自覚したのはいつ頃ですか?
やっぱり品川の大会で優勝しまくっていた時期ですね。当時は品川で頻繁に大会が開催されていたのですが、一ヶ月間で4大会中3大会優勝したこともありました。あの頃「自分強くなったな〜」と感じていましたね。
不登校、そして「オセロに救われる」
今話してくれたのは中学生から高校生にかけての時期ですよね。かなりの時間をオセロに割いていたのですか?
実は…今から話すことって誰にも話したことないのですが、僕、中学2年の途中くらいから不登校になったんですよ。
え!そうなんですか?
はい。別にいじめられていたとかではないのですが、何か突然学校生活が退屈になってしまって…。完全に自宅に引きこもってて、品川の大会に参加する時だけ外出していました。そこから中学校卒業まで学校には行っていませんでした。
義務教育だから卒業こそできるのですが、普通の高校には行けないのは当たり前ですよね。なので僕、高校は4年制の定時制高校に通っていたんです。コンプレックスがあって誰にも言ってなかったんですが…。
では18歳の時、大学受験で浪人していたわけじゃないのですね?
みんなは僕が大学受験をしていると思っていたみたいですが、普通に高校生活を送っていました(笑)。「受験終わってオセロ強くなった」みたいに言われてましたけど普通にオセロやってましたからね!まあ変に思われるだろうから高3の冬はあまり大会にも出ていないんですけど(笑)。
定時制は夕方から授業が始まるので本当は昼間からネットオセロもやろうと思えばやれたんですが、やっぱり行ってませんでした。確か当時佐谷六段は大学院生でいつも昼間にYahoo!オセロにいたんですよ。ずっと「打ちたいな」と思ってたんですが、昼間暇なことがバレるんじゃないかと思って自粛してました。
大学入試はオセロ世界チャンピオン経験という一芸入試で入ったんですよね。
そうです。定時制高校に通ってると普通に大学受験やっても入れないのでその制度を使って入りました。大学に入ってから、勉強も楽しいしサークル活動もめちゃくちゃ楽しいです。超充実してるんですよ。そして就職活動ももうすぐ始まります。めっちゃ頑張ります!
高梨九段のオセロ観
高梨九段の「大局観」を教えて下さい。
基本的に「自然な手」を打つように心がけています。
強引な手はあまり打ちません。中島八段の調和に似ていると思います。
対局中相手の手を見て「なんでこんなところに打つのかな?」と思うこともあります?
ん〜。よく「相手が変な所見てるな」と思うことはあります。
視線ですか?
はい。明らかに盤面の勝負どころじゃない場所を見ていることが多いんですよ。そして案の定打ってくる。まあそうやって気づくくらいなので、たぶん僕も視線を見られてると思うんですが。
やはりそこから形勢が一気に有利になるんですかね。
そうですねえ。「ああ、助かった」と思うことは本当に多いですよ。
僕ら低段者にとっては中盤って結構難しいのですが、どうやって鍛えればいいのでしょうか?
中盤も結局「形」で覚えてることが大切だと思うんですが、そういう中盤の手筋ってなかなか本やWebサイトでまとまってないんですよね。だから、自分で解析して「なぜその手が最善なのか?」を自分で理由付けしたり、自分の手だけじゃなくて最善手からの展開も数手先まで調べることが大切だと思います。
低段者と対戦していて他に感じることはありますか?
さっきも言いましたけど、やっぱり1局を隅々まで解析することが大切だと思いますがそれをやってないだろうなと思うことはあります。序盤も、ただ定石として暗記している人は多いんですが「なぜそれが定石なのか?」を理解することが必要でしょう。やっぱり「定石は覚えて忘れる」を繰り返すべきですね。
これからオセロを強くなりたい、という人にアドバイスをお願いします。
序盤は後からでいいです。まず終盤をやりましょう。すぐに効果は出ないかもしれませんが、「勝てる形を見極め」られるようになることが大切です。
ちなみに僕は終盤問題練習で5分考えてわからなかったらすぐ解答を見ます。答えをみて、頭のなかで再度正解手順を並べ直してカウンティングもします。だから自分の現在の石数が出てしまう終盤ソフトはダメです。隠せる機能があるならば隠した方がいいです。
オセロで尊敬している人は?
中島八段です。プレーヤーとしてはもちろん、大会運営やサイト運営等オセロへの関わり方を含めてすべて尊敬しています。
苦手な相手は誰ですか?
管生六段です。確か戦績2勝5敗くらいなんじゃないかな…。複数対局ある人の中では一番勝率が悪いです。白番の時たいてい金魚進行になるのですが、多彩な展開に持ち込まれていつも苦しくなってしまいます。
あと最近は山川七段も嫌ですね…。末國九段も勝率が悪いです。
ライバルはいますか?
低段だった頃は綿引五段をライバル視していました。綿引くんと同じ時期に品川の大会に出始めたんです。彼に負けると本当に悔しかった。2008年の全日本3回戦で綿引くんと対戦したんですが、その時「ここで負けたらたぶん綿引くんは決勝まで行く気がする」と思ってめちゃくちゃ気合入れたんです。あの試合はターニングポイントだったと思っています。
あと伊藤七段も、ずっと「僕のほうが強い」と思っていたんですが、彼が五段に昇段した時初めて段位抜かれたんですよ。それが悔しくてかなり頑張り翌年抜き返しました。OWC優勝前も強いとは思ってましたが「世界獲るほどではない」と思ってたんですよ。でもOWCで優勝して、彼はテレビにも出演しまくってます。実は悔しくて、彼が出演するテレビ、あまり見てないんですよ(笑)。
オセロをしていて「つらい時」はありますか?
負けがわかった瞬間は本当に打ってるのがつらいです。ギャラリーがまわりにたくさんいて、3〜4個空きで「もう確実に負け」っていう時は本当につらくて時間がとても長く感じます。時間にしたら数十秒ですが、とても長いです…。あと新オセロ方式ですね。
新オセロ方式?
あの方式って座ってるテーブルで2回戦の相手がわかるじゃないですか。2回戦に管生六段と対戦することがわかるともう辛いです…。
オセロへの関わり方と、今後の目標
そういえば以前トヨタや東北に赴いて、多面打ちイベントに参加してましたよね?あれはどういうきっかけなのですか?
僕はオセロ連盟から依頼される仕事はなるべく請けたいと思っていて、スケジュールの都合がつけば参加するようにしています。本音を言うと、オセロのモチベーションは以前よりも下がっています。でも、僕は一貫して「オセロに恩返ししたい」という気持ちがあるんです。
不登校になって自宅に引きこもって、人生のレールを一度踏み外しそうになってました。でも今、大学生として充実した人生を送っています。これは完全にオセロのおかげなんです。オセロに救われたので、僕は一生かけてオセロに恩返ししていくつもりです。プレイヤー以外でも、できるだけオセロに関わっていきたいと思っています。
今後の目標を教えて下さい。
たくさんあるんですが、まず為則九段の世界選手権7度制覇の記録を超えたいです。そして世界戦で一度予選から決勝まで1度も負けない17連勝という記録も達成してみたいです。かなり難しいですけど(笑)。
それから王座戦ですね…。ちゃんと優勝してグランドスラムを達成します。最後に全ブロックのオープン大会制覇。残りは東海、中四国、九州、茨城。大学生の間に制覇しにいきます!
2014年12月13日
天王洲アイルにて