DSC_97592Othello Graphスペシャルインタビュー第2回は、世界オセロ連盟(WOF)元会長であるスウェーデン在住のBenkt Steentoft氏だ。ある時は世界大会のトーナメントディレクターとして、またある時は調整役としてあらゆるマネジメントをしているBenkt氏。今回の来日で、わざわざOthello Graphのためにスケジュールを調整してもらって実現したこのインタビュー。Benkt氏はとにかく「For Pleyers(選手のために)」という熱いスピリットを持っていることがわかる貴重なインタビューとなった。

来日の目的



ー 来日は何度めですか?

今回で8度目の来日だね。浅草も8回目だよ。



ー 毎回浅草行ってるんですか?

そりゃ行ってるさ(笑)



ー 初めて日本にきたのはいつ頃ですか?

2006年水戸で開催されたオセロ世界選手権(以下WOC)が最初だったよ。



ー ちなみに今回の来日の目的は?

シークレットだ(笑)



ー いきなり厳しい(笑)

目的の一つはもちろんオセロだ。メガハウスと打ち合わせだよ。それから今娘が日本に留学していて、彼女に会うためにきた。



ー 今日はりんかいチャレンジカップに出場されたみたいですね。成績はどうでした?

1勝しかできなかったよ!



ー アドバンスド部門の出場者はみんな強いですからね。元世界チャンプの冨永八段とは対局しましたか?

対局したが彼はとても強かったね…。私のレベルではまったく勝てる要素が無かった。



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経歴


ー WOCやオセロワールドカップ(以下OWC)、またFacebookなどを通じてあなたのことを知る日本人プレイヤーも多くなってきました。オセロ界でとても重要な役割を担ってらっしゃるのはわかるのですが、何をされているのか知らない人も多いです。ぜひ自己紹介をしてもらえますか?

私は2005年から2012年までWOFの会長をやっていた。以前からWOF自体は存在していたのだが、組織体としては少し不十分な所もあった。2005年以降WOFは組織として少しずつ整備されてきたんだ。

私がやっていることは多岐に渡っている。仕事の主軸はもちろんWOCについてだが、日程や開催地の確保、参加選手との連絡やWebサイトの更新などマネジメント全般をやっている。また、ルールの整備だったり「大会の開催方法がわからない」という国に対して色々な提案を行っているんだ。



ー WOCに無くてはならない人物なのですね。WOFは今何カ国くらいとやりとりしてるのでしょうか。

72ヶ国だね。始めた時は30ヶ国くらいだからずいぶん増えたよ。



ー あなたのオセロとのかかわり合いは?

1984年からオセロを競技として始めたんだ。スウェーデン国内での大会にいくつか参加しており、国内大会をオーガナイズするようになった。そして2003年。WOCがスウェーデンで開催されたんだが(ベン・シーリィが優勝、末國九段が2位)、マネジメント関連は当然私のところに話がきたわけだ。その辺りから本格的に関わるようになってきたんだよ。



ー ちなみにBenktさん、あなたにとっての"フェイバリット"日本人オセロプレイヤーは誰ですか?

ケンイチ・イシイ(石井健一八段)とタメノリ(為則英司九段)だ。



ー 石井八段!彼にお会いしたことあるんですか?

会ったことはないね。彼のことは本で知った。彼の棋譜を研究して私はオセロを勉強したんだ。1986年当時もいろんなプレイヤーがいたけどイシイのゲームが最高だったね。

そしてタメノリ。彼はまさしく歴史上最高のプレイヤーだ。他にもタキザワ…カネダ…印象に残ってるプレイヤーはたくさんいるよ。最近だとジュンヤ・イトウは最高のパフォーマンスを発揮したね。



ー (同席していた高梨九段を指して)高梨九段はどうですか?彼も3度世界を制覇してますよ。

君はまだまだ若いな(笑)

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世界から見た日本


ー 世界選手権に参加する日本選手団のことを、欧米勢はどう見てるのでしょうか?「打倒Japan!」みたいにやはり対抗心を燃やしたりしてるのでしょうか?

いや。そういった感情よりもまず「毎年日本という遠いところから強い選手達を派遣してくれて本当にありがたい」と感謝してるくらいなんだ。やはり強い選手がこないとWOCは盛り上がらない。日本人がいないところでオセロ世界一を決めても「あまり意味が無い」と考えている選手も多い。そういった前提を踏まえての「対抗心」はもちろんあるけどね。



ー 予想もしていなかった回答です。

あくまでも私の個人的な考えで何も具体的なことは決まっていないが、将来は「日本チーム vs 世界選抜チーム」という大会をやったら盛り上がるのではないかと思っている。それくらい日本の層は厚い。




ーOWC2013日本大会、日本ではすごく盛り上がっていたのですが、OWCとWOCが競合すること自体はすごく不自然に見えました。その辺はどのようにお考えですか?

OWCとWOCの競合について、ぎくしゃくしていたのは事実だと思う。OWC自体はオセロ40周年記念イベントという扱いだったわけで、本質的な部分でWOCと競合する必要はないはずだ。しかし色々あって混乱を招いたこと自体は反省点といえるだろう。

もちろん”エコノミー”の課題は無視できない問題だ。しかし、プレイヤーはあくまでもプレイヤー。最高の舞台で最高のゲームをするべきなんだよ。どちらの大会も世界大会である以上、強豪の選手が集わなければ意味がない。だからこそ選手の扱いは可能な限り手厚くするべきなんじゃないかな。



ー難しい問題ですね

いいかい?オセロとは「趣味」なんだ。これはビジネスではない。プレイヤーはみな趣味の範囲内でこのゲームを楽しんでいる。チェスやフットボールなどのプロスポーツは確かにお金が発生するわけだが、一方でスポンサーの意向も色濃く反映されてしまう。しかしオセロは金のためにやってるわけじゃないんだ。だからこそ大会の運営方針を巡って選手を混乱させてはいけないはずだ。

この2年は諸問題でやはり混乱した。しかし、今後は改善されていくように感じている。話し合いがうまくいってるからね。だから心配しなくていいと思う。

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最後に



ー最後に日本のオセロプレイヤーにメッセージをお願いします。

Have fun!!



ーシンプルで素晴らしいメッセージですね(笑)

それからもう一つ言わせてくれ。



ーなんでしょうか?

私は今まで3度も名人戦に出場している。しかし未だに「ZERO-Dan」だ。以前イイジマ(飯島七段)にも勝ったことがあるんだよ?だからそろそろ私に初段くらい認定してくれても良いのじゃないかね!(笑)




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2013.11.16
グランドプリンス高輪「Patio」
通訳:末國九段 中島八段
撮影協力:高梨九段